プレシャス







…やっぱり
いいな


頼子は…。









一緒にいる時間も
離れてる時も

ずっと圭介のことを想ってる頼子。






横顔も
ため息も

頭の先からつま先まで全部ただ一人、圭介のことを。





そして
たぶん…


圭介も。













「…いいなぁ」


「…え?」


「あ…ううん?」











あたし…

そんなふうに修を想えたことあったかな…。









ポケットの携帯電話。

何度開いても
何度送っても届きもしない修からのメール。





会いたいと願っても 側にいたいと望んでも。

そんな希望は
いつも修には聞こえない。









寂しくて
切なくて


…苦しくて








あたし…もう
望むこと…

諦めちゃったから


“仕方ない”って……









もう
ずっと前に…






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