プレシャス









「なんのこと?」


「……え…あの…こないだのグラスの…」



「なんかあったっけ」


「…だから…あの…」










やっぱり
あたしの勘違い…?






そんな不安にだんだんと恥ずかしさで真っ赤になるあたし。







でも
真上から聞こえたのは











「…俺、どんくさいからひっくり返しただけだし」











真っ赤な顔のあたしに目を細めるちょっといじわるげな笑顔だった。








「…っ、なっ、やっぱりっ…」


「もう、ひっくり返したりしないけど」



実は手先器用なんで

なんて…
ちょっと澄ましてカクテルを差し出してくれる坂井君。







やっぱり…
偶然じゃなかったんだ











「…坂井君、意地悪いよ…」


「こないだのは超レア。半期に一度あるか位に」







ちょっと力の抜けたあたしに


超貴重ですって

やんわりと目を細めて笑ってくれた。





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