プレシャス
やっぱり…
あたし
恋愛むいてないんだ
目の前に映るのは
あたしの視線になんて気付きもせず
仲良さそうに抱き締めあってる修とあの子の姿。
“俺、しばらく大学に泊まりだし…”
修のその言葉自体が嘘なんだって分かってた。
初めから、そうなんだって信じてた訳じゃない
だけど…
…それでも
信じていたかった
『2番ホーム、最終…行きが発車します……』
目の前に止まる最終電車に
ゆっくりと開くドア に次々と乗り込んでいく乗客達。
ホームに発車のベルが鳴り響いてるのが聞こえるのに
なのに…
あたしは
その場で動けなかった。