プレシャス
「じゃあ俺と…
練習してみる?」
後ろから聞こえた
大きなひと言。
まるで
聞き間違いかと振り返ると
そこにはまっすぐに見つめる深い瞳があった。
…え…?
今の……
「…坂井く…?」
突然の言葉に
思わず一時停止なあたし。
財布から溢れた小銭さえ拾うのを忘れてた
コロコロと転がる硬貨を拾うと、呆然とするあたしの手のひらに静かに乗せる坂井君。
そこにはまっすぐなままの瞳があった
「…恋愛ってさ、向き不向きじゃないでしょ。それを言ったら俺なんてもってのほかだし。
でも
恋愛って簡単なようで簡単じゃないから
…だから練習してみない?」
どう?って
あたしを見下ろす坂井君。
「…えと……それは…坂井君と付き合うって…こと?」
「いや、志穂さん俺に惚れてる訳し。それじゃ付き合っても意味ない」
…え???
つまり?
付き合うじゃなくて……??
ん?