プレシャス
「でも、話戻すけどさ」
「なによぉ大造」
ポンとあたしの肩を叩いてビンビール片手に顔を覗き込む大造。
そんなにお酒強くないくせにペースあげるから顔真っ赤だよ。
「お前、ぶっちゃけもてないわけじゃないんだからよ~、も少し自分大事にすれよ」
「大造、酔ってるでしょ」
「話そらすなっての」
「あはは…大事にしてない訳じゃないんだけどなあ…」
浮気とか二股とか…
ホントそんなの好きな人なんていない。
好きな人に好きでいてほしい
ただそれだけ。
でも
誰もがしてる恋愛
それが難しくて…
あたしはいつも
恋愛になる前につまづいてる気がする。
「あたし、恋愛に向いてないんだよ、きっと」
仕方ないさあなんて笑ってみるけど
そんな自分
ほんの少し情けなくて嫌になる。