禁断の姉弟愛 ~欺くのはどっち?~
『ちょっと、志乃、起きてるの?』


「う、うん。今起きたところ。寝坊しちゃったみたい」


『あら、そう? 次は和也を起こさなくちゃ……』


 えっ? ま、まずい!


「待って、お母さん! 和也は私が起こすから!」


『え? いいわよ、ついでだから』


「ダメ! 私が起こす。起こさせてください!」


『そう? じゃあお願いね? コーヒーぐらいは飲んで行くでしょ?』


「う、うん」


『二人揃って寝坊だなんて、珍しい事もあるものだわね……』


 ドアに耳を寄せていたら、母が階段を下りて行く気配がした。


 フーッと私が息を吐いたら、和也も目を覚ましたらしく、ベッドの上で「ヒュー」っと、たぶん安堵の声を漏らした。


「危なかったね?」


 と、そっちを向いて言ったら、


「それよりも姉貴、すげえいい眺めなんだけど?」


 と言われた。


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