禁断の姉弟愛 ~欺くのはどっち?~
「おふくろさん、やけにニコニコしてなかったか?」


 母に見送られて家を出た直後、和也は不思議そうにそう言った。


「そうだった?」


 なんて、私はちょっと惚けてみせたけど、それは私も気付いていた。たぶん母は、私と和也が仲良さそうにし、しかも一緒に家を出たので喜んでいたのだと思う。


 だって、先日二人でドライブに行った以外、私達二人は母を含め、人前で仲が良さそうにはして来なかったし、一緒に家を出て通勤なんて事は、たぶん1回もなかった事だから。


 でも、その事は和也に言わなかった。言うと、和也は母を警戒すると思うから。と言っても頭のいい和也の事だから、すぐに気付いちゃうと思う。というか、気付いてて惚けてるのかもしれない。私と同じで。


 いずれにしても、せっかく想いが通じ合ったのだから、今は和也とイチャイチャしたい。今まで出来なかった分。たとえ短い間としても……


< 131 / 167 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop