禁断の姉弟愛 ~欺くのはどっち?~
「和也、起きてるか? 開けるぞ?」


 やばい、父だ!

 素早く和也は私の上から退き、私も急いでベッドから降りつつ乱れた服を直し、髪に手をやったところでドアが内側に開いた。


「おや? 志乃もいたのか。どうした?」


 それはのんびりとしたいつもの父の口調だ。怪しまれてはいないみたい。


「え、うん。今日は出かける約束なのに、和也が起きて来ないから起こしに来たの」


 私は髪を撫で付けながら、父に向かって何食わぬ顔(のつもり)でそう言った。とっさについた嘘にしては、我ながら上出来だと思う。


「おお、そうかそうか。おまえ達、この頃仲がいいんだってな? 母さんも喜んでたぞ?」


「そ、そうかなぁ」


 母がそんな事を? それはちょっと、気になる発言だわね……

 母って、ああ見えて結構勘がいいからなぁ。父はすっごい鈍感だけど。


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