禁断の姉弟愛 ~欺くのはどっち?~
「おやじさん、何?」


「あ、ああ。ちょっと工具を貸してくれんか? ステレオの調子が悪くてな……」


「いいけど、下手にいじったら余計に壊れるんじゃ?」


「ちょっと開けて見るだけだから……」


 とか言いながら、父は収納の扉を開け、中から工具箱を取り出した。慣れた感じだから、きっと二人はちょくちょくこんなやり取りをしているのだろう。


「じゃ。すぐ返すから」


「いつでもいいよ?」


 父が去り、ドアがパタンと閉まった。



「危ないとこだったね?」


「ああ。間一髪ってとこだな」


 私はベッドにちょこんと腰を下ろした。


「ねえ?」


「ん?」


「続き、する?」


 恥ずかしいので、俯き気味にそう言ってみた。


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