一緒に、歩こう





「あたし行く…」




「ここ座れって」



当たり前のごとく、

彼は前の席に座れと言う。

そしてあたしも、

当たり前のごとく、

言われた通り彼の

前の席に腰を下ろす。





「何ですか?」




そう尋ねるのに、

矢野くんは無言のまま

あたしを見つめる。




「矢野くん…?」




それでも何も言わない矢野くんに

しびれを切らしたあたしは、

他の話題を振ることにした。






「補習、毎日来てね?」



あたしが授業ちゃんと教えるから。

そう付け足すと、

矢野くんは急に言葉を発した。


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