一緒に、歩こう
「あ、俺さ」
「うん?」
「テスト一発で合格するから」
ふざけた様子は一切なく。
矢野くんはあたしに、
そう宣言した。
「本当に一発?」
「一発。ぜってぇ一発」
何だかあたしは、
嬉しくなった。
「分かった。ちゃんと教えるからね」
「その代わりさ」
シン、と静まる教室内。
座り直したイスに軋みしか、
耳に入らない。
「俺が一発合格したら祝えよ」
「お祝い?」
無意識に笑ってしまった。
矢野くんが、お祝いだなんて。
何だか可愛くて。