一緒に、歩こう




「誰…?」




ディスプレイには

知らない番号。

あたしは、恐る恐る

通話ボタンを押した。




「はい…」




『俺だけど』




たったそれだけの声で。




「矢野く、ん…?」




相手が彼だと分かった。




『今準備室にいんだろ』




「そうだけど…、何で?」




『外から見える。お前の後ろ姿』




あたしの背後には、

いつも帰って行く矢野くんを

見る窓がある。

あたしはゆっくり後ろを

振り返ることにした。




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