一緒に、歩こう
「…見える、矢野くんが」
目に見える彼の姿。
校門の少し手前で、
こっちを見ている。
「何で…番号知ってるの?」
『先にかけてきたの、お前だろーが』
「あ、そっか…」
確かに、体育祭のあった朝、
なかなか来ない矢野くんに電話をかけた。
それを矢野くんは登録
してたってこと?
「もう帰るの?」
『帰る前に1つ言い忘れたから電話した』
あんな遠い場所にいるのに。
聞こえる声は、あたしの
耳元で囁く。
終始ドキドキしていて。