一緒に、歩こう
「また3学期ね!」
あたしは振り向かずに、
家まで歩き続けた。
自分が嫌いだ。
ここまでしてくれた
矢野くんに対して。
あたしって、何だろう。
どうしたら上手く
いくんだろう。
一緒にいたいのに。
手を繋ぐことさえ、
許されないんだ。
「プレゼント…渡しそびれちゃった、」
家に入って
崩れ落ちる。
せっかく買ったプレゼントを、
あたしは鞄にしまったまま
帰ってきてしまった。
「渡して来ればよかったかな…」
包み紙を片手に、
あたしは肩を落とす。
もう矢野くんは
帰ったのかな。
先に帰ったあたしに、
彼はどう思ったのかな。
あたし…。
「この先どうしたらいいんだろう…、」
好きなのに、
好きなままじゃいけない。
一歩前に進むことが、
あたしには怖い。
「あたしの…、ばか」
あなたの幸せだけを
考える女になりたいと。
そう願うしかなかった。