一緒に、歩こう
彼を待つ。
何だか彼女みたいで、
恥ずかしい。
ふと、考える。
あたしこの間ひどい
態度取っちゃったんだ。
謝らないと。
「悪ぃ、待たせて」
「ううんっ」
入口から急いで
出てきた矢野くん。
「行くか」
彼は、この間のように
あたしに手を差し出したりは
してくれない。
あたしの両手は、
寒さでいっぱいだ。
「矢野くん…、あのね」
歩きながら話すあたし。
矢野くんはあたしの話に
静かに耳を傾けてくれる。
「ご飯連れてってくれてありがとね」
「うん」
あたしは1人、
一方的に話す。