一緒に、歩こう
どれくらい経っただろうか。
10分?20分?
時間は分からないけど、
矢野くんは一言も発さない。
あたしも気まずさに、
声を出せなかった。
「お前」
ようやく声を聞けた、と
思った時には
矢野くんがもうすぐ
そこまで来ていて。
あたしは驚いて
目を見開いてしまった。
「ちゃんと付けてんだな」
これ。
と、自分の首を指さす。
あたしは慌てて。
「あ、うん!そうなの!」
そう返した。
「似合ってんじゃん」
「ほ、ほんと…?嬉しい、」
この年で、
恥じらいがあったのかと思う。