一緒に、歩こう
「後は掃除しといてね…っ、」
あたしは、呆然と立ち尽くす
矢野くんの脇を通り抜けて
教室を出た。
あぁ、担任にちゃんと
見といてって言われたのに。
あたしって、
つくづくダメな教師。
「泣いちゃダメじゃん…」
矢野くんにやめてと告げた時。
泣くもんか、と我慢したけど。
そんな気持ちは脆く、
すぐに壊れてしまった。
崩壊した涙腺は戻らない。
あたしは矢野くんの前で、
感情を現してしまった。
「矢野くん…、」
涙を流さずにいられない。
だって。叶わないと
思っていた好きな人が、
あたしを好きなのに。
「何で生徒なの…っ」
彼は、あたしの生徒なんだ。