一緒に、歩こう
胸がきゅん、ってなる。
ドキドキ、って脈を打つ。
このまま、あたし
死んじゃうんじゃないか
ってくらい。
「あたしん家、ここだから」
3階建てのマンションの前。
いつもより遠く感じた道のり。
だけどもう少しあっても、
よかったなぁ、なんて。
「今度遊びに来る」
「や、ダメダメっ。絶対来ちゃダメだよ」
「絶対来る。嘘、来ない」
笑う、矢野くん。
この瞬間が、本当に好きで。
来るなんて冗談だろうけど。
本気でとらえてしまう
自分がいる。
「分かったから…、早く帰って?」
「お前、夜危ねんだから。酔ってんのに、1人で歩くなよ」
矢野くんの、真面目な顔に
あたしは吸い込まれていく。