一緒に、歩こう
「あ…、ん。ごめん」
何で謝ってんだろ、
とか思うけど。
よく考えたら、
矢野くんはあたしなんかの
心配してくれているわけで。
「んと、考えろって。女なんだから」
「そう、よね…、考える」
「早く彼氏でも作れよ」
さらりと言われた一言に、
あたしは現実に引き戻された。
「矢野くん、もういいから…帰って」
彼氏作れって、言わないでよ。
分かってるの。
彼氏とか、他に違う好きな人が
出来たら苦労しないことくらい。
「じゃ。また学校で」
ねぇ、矢野くん。
あたしはあなたが好きです。
口が裂けても言えない。
言っちゃいけないのよね。
「情けない…あたし、」
すぐに部屋に入って、
崩れ落ちる。
涙が溢れて止まらない。