一緒に、歩こう





「今日はありがと!すっごい楽しかった!」




外でゆっくり過ごせない。

誰かがいる場所で過ごせない。

いつ、誰がいるか分からないから。





「弁当、美味かった。冗談抜きで」




「全部食べてくれてありがとね?」




あれだけあったお弁当を、

矢野くんは1人でほとんど

食べてくれた。

本当はお腹がいっぱいで、

苦しかったはずなのに。

まだお腹空いてんだよ。

そう言って、彼は

全部平らげてくれたんだ。





「早く中入れ。もういいから」




「…でも、」





まだ、離れたくないよ。





「また心配するから」




矢野くん、まだ…ね。





「芽衣子」





帰らないで。




< 227 / 497 >

この作品をシェア

pagetop