一緒に、歩こう
「毎日会える。俺が会いに来るから」
「ん…、ごめんなさい」
あたしが謝ると、
今度は矢野くんが
切なそうな顔をした。
「ばか芽衣子」
矢野くんはそう言って、
軽く唇にキスをして。
「早く寝ろ。な?」
「うん、」
もう1度あたしの頭を撫で、
背中を押した。
先に入れという意味だろう。
あたしはもう1度玄関で
振り返って。
「おやすみ」
中に入った。
矢野くんはあたしを見送って、
自分の家に帰って行った。
あたしにとって、今日の日は
何にも代えられない日に
なった。