一緒に、歩こう
「おはよ」
「矢野く…、あの」
昨日のあたしは。
きっと彼のことを
困らせていたに
違いない。
謝ろうとしたあたしを。
彼は何かを察して。
「別にいいって。何も思ってねえから」
「だけど…、」
「会いたいって、電話くれただけでいいから」
昨日とは違う意味で泣ける。
彼が思いのほか優しくて。
あたしはそんなこと、
してもらうほど
いい女なんかじゃない。
「じゃ、鍵置いてく。また学校でな」
彼は絶対。
あたしの頭を
優しく撫でてくれる。
その感触が心地よくて、
何だか今日は切ない。