一緒に、歩こう
「とりあえず、授業するね。矢野くんはちょっと待ってて」
矢野くんばかりの相手も
出来ない立場。
あたしは強制的に授業を
進めていく。
「じゃあこの問題しててね。矢野くん。コピーしてあげるから来なさい」
クラスの生徒を残して、
あたしは教科書を片手に
教室を出た。
「コピーしなくてもいいけど」
「仕方ないでしょ。忘れたんだから」
なんて平然と返すけど。
久しぶりな2人の空間に、
緊張を隠せない。
「何で、そんな怒ってんの?」
「怒ってません。いつもこんな感じです」
覗きこんで来る彼を、
振り切るかのように
あたしはそっぽを向く。