一緒に、歩こう
「でも今日は…」
さっき矢野くんが
言いかけてた。
今日…って。
「じゃ帰ります。さようなら、先生」
矢野くんは、あたしに
先生と言って
帰って行った。
あたしは引き留めたいのに。
「な、芽衣子。頼むから」
「少しだけ、だからね」
竣があたし達の
間に入って邪魔をする。
あたしと矢野くんに、
また壁が出来てしまう。
「じゃ、19時に行くから!」
でも、いいや。
どうせ明日で竣は、
地元に帰るんだ。
元はと言えば、
あたし達は幼馴染。
付き合ったのだって、
どうせ彼は気まぐれだったに
すぎないんだ。