一緒に、歩こう
「これ、今日みんながやってる所の範囲ね」
はい、と手渡す。
ふいに当たる矢野くんの手。
あたしは過剰にも反応して、
思わず手を避ける。
「早く教室戻って。やってて」
一緒に戻るのもおかしいし。
待たせるのもおかしいし。
先に戻したい。
なのに。
「一緒に行こ。暇じゃん」
発言に気をつけろって思って。
肩を落とす。
そして顔を紅くして。
「…行きます、から。早く出て」
仕方なく、職員室を出ると
矢野くんが待ってましたと
言わんばかりの顔で
待っていた。