一緒に、歩こう




「俺、芽衣子に言わないといけないことがある」




竣が話し始める。

あたしは何も言わず、

黙って聞いた。

居心地が悪いのは、

彼が嫌いだからではなく。

彼があたしのことを、

嫌いだと思っていたから。





「あたしに…?」




「俺、今でもあの時のこと、後悔してる」





嘘を言っている様子はない。

彼はあたしに何かを

訴えるように話す。





「あの時…?」




「俺達が別れた時のこと。でも本当は別れたくなかった」




「何、言ってるの…?」





困惑するあたし。

張り詰める空気。

何なの、一体。

何言ってるの、竣。

あの時、竣はあたしに。

好きじゃない。

そう言ったよね?



< 262 / 497 >

この作品をシェア

pagetop