一緒に、歩こう
「本当に好きだった。大好きだったよ。優しくて、かっこよくて、誰よりもあたしの傍にいてくれた竣が大好きだった」
でも、その想いは
通じ合うことは一生ない。
ごめんね、は言わない。
さよなら、も言わない。
だってこれは。
別れの言葉じゃないから。
「でも、遅すぎたみたい。もうあたし達戻れない」
竣の手が、少し震えている。
泣いているのだろうか。
「明日地元帰っちゃうし、離れちゃうけど」
こんなに優しい、
あたしの幼馴染。
「あたし達、誰にも切れない幼馴染じゃない」
「…芽衣子、」
これは、矢野くんでさえ
切れないもの。