一緒に、歩こう





「いっぱい笑って、いっぱい泣いたあの頃には戻れないけど。また幼馴染として、竣の傍に居たい」





都合のいいことなのかもしれない。

好きな女が友達として、

傍に居たい。

そう言われて、竣は

苦しいのかな。

だけど。





「やっぱり…、芽衣子には敵わないな。本当に」




竣は涙交じりの声で、

笑いながら言った。

そしてあたしの肩から

手を離し。





「でも俺は芽衣子を諦めない」




あたしに笑顔を向けてくれた。




「芽衣子が幼馴染としてでも、傍に居てくれるんだったら。俺はそれでいい」




「竣…、」




「だけどまたいつか。好きって伝えた時、真剣に考えてくれ」




泣くこともなく、

怒ることもなく、

竣はすっきりした顔で

あたしを見て微笑んだ。



< 273 / 497 >

この作品をシェア

pagetop