一緒に、歩こう
「うん!」
あたしは勢いよく頷いた。
「悪かったな、こんな時間に。送るから帰ろ」
有無を言わさず、
竣の方が先にあたしの
家に向かって歩き始めた。
「………」
「………」
無言の2人。
人1人分開いた距離。
昔のように、
手が繋がることはない。
「ごめんね。竣、遅くなっちゃうね」
「大丈夫。荷造りは出来てるし、明日の準備と風呂だけだから」
「…そっか、」
「んじゃあ…、また明日な!」
竣はそう言うと、
手を振って去って行った。
あたしは見えなくなるまで、
見送った。
もうこういうことは
ないだろうから、と。
幼馴染の背中を、
しっかりと目に焼き付けた。