一緒に、歩こう
「おかえり」
そして優しい、
矢野くんのキス。
甘くて、深い
彼のキスで。
あたしの頭は
翻弄されていく。
「もう泣くな」
「ん…、ごめん」
矢野くんはあたしの
背中を擦って、
頭を撫でて。
あたしは子どもの
ような気分だった。
「芽衣子、俺腹減った」
「あ、じゃあ何か作る!」
あたしは立ち上がって、
台所に立つ。
冷蔵庫にある食材で、
ご飯を作って机に並べた。
「こんなのしか作れないけど…」
「美味い。めっちゃ美味い」
矢野くんは、文句1つ言わず
あたしの作ったものを
全部平らげてくれた。