一緒に、歩こう
「はい、採点して下さい」
補習1日目。
いつものように、
テキストをして
それの答え合わせ。
「終わったら提出して帰っていいよ~」
あたしはそう言って
教卓の席に腰を下ろした。
「さようならー」
生徒達はぞろぞろと
足をそろえて帰って行く。
気付けば、教室には
矢野くんしかいなかった。
「終わった?」
「まだ。あと採点だけ」
そう言って矢野くんは、
用紙を取り出して採点を始めた。
あたしは矢野くんの席の近くの
席に腰を下ろした。
「結構合ってるね。勉強してるの?」
「別に。ただ最近頭に入る」
ふーん、と流して
様子を見つめる。
「そういえば、懐かしいね。この感じ」
「懐かしい?」
「うん。前の補習の時はまだ気持ち言えてなかったり、一発合格して祝ったり。夏休みも冬休みも、ずっとここでこうして一緒にいたんだな、って」
矢野くんは、小さく鼻で笑って
採点を続けた。