一緒に、歩こう
「桜良…」
さ く ら。
それはまるで、何かの
作り物のような女の子。
この学校にこんな子、
いたっけ、って女の子。
「早く帰れって言ってただろ」
「隼人と帰りたくて待ってたの。一緒に帰ろ?」
あたしでも分かっちゃう。
きっと。目の前の女の子は。
さっき言ってた、矢野くんの彼女。
「何先生…ですか?」
「朝比奈、です…」
いきなり話しかけられて、
動揺の色を隠せない。
「あたし、春野桜良です。初めまして、ですよね」
清楚な印象の彼女は、
あたしに向かって頭を下げた。
制服を着ているから、
ここの学生だと分かる。
だからこれからは、
きっと意識しちゃうんだろうな。