一緒に、歩こう




「次~」


ダルそうに入って来る、

隼人が目の前にいる。

今日は、進路相談を

午後からする日。




「じゃ、矢野の進路のことなんだけど」



主に話すのは、隣に

座っている中西先生。

あたしは横に座ってるだけ。

一応、クラスの生徒の進路くらいは

知っとけ、と中西先生からのお言葉で

隣に座っているわけだけど。




「矢野、こないだ県外の話してたよね?」




隼人の話を、

この場で聞くとなると。

少し気まずい感じがしたりして。





「あれ、どうなったの?」



「あー…」




基本言葉を挟まない。

なのに、今回に限って。




「朝比奈先生、どう思う?」




そんなことを聞いてきた。




「えっ」




「矢野の話、こないだしたじゃない。それ、どう思う?」




…。聞いた。それは聞いたけど、

生徒の前で聞くことじゃなくないですか?





「いや…、ん、行きたい学校に行くのが、いいんじゃないですか…?」




思わず隼人を見てしまう。

目の前の隼人は、

ふーんという目であたしを見つめる。




「いや、行かねーよ」




「何、志望変えるってこと?」




「考え中。でも行かない方向で」




それから隼人は。

あたしの方を見なくなって。

その日から、隼人は

連絡をして来なくなった。

< 336 / 497 >

この作品をシェア

pagetop