一緒に、歩こう



寝る時も、起きた時も考える。

教室の後ろにいる時は、

隼人しか見ていない。

携帯を見ては、悩む。

どうして連絡をくれなく

なったのか、とか。

電話したら迷惑かな、とか。

そんなことを考えてたからか、

寝不足な日々が続いた。

そして数日後。

家に帰ったら、

玄関に隼人の姿があった。




「隼人っ」




「遅ぇ帰りだな。仕事?」




「あ、うん。もうすぐテストあるし、まとめとかしてて…」





そう言いながら、玄関のドアを開ける。

隼人は何も言わずに、後ろを着いて来た。





「何か飲む?」



「いらない」



「お腹は?空かない?」



「いいから。ちょっと座れ」




少しの沈黙が続いて、

あたしは意を決してソファに向かった。

矢野くんは難しい顔をして、

あたしを待っている。




「隼人、どうし…」




「お前知ってたんだろ。大学の話」




きっと。

その話をしに来たんだろうな、と

思ってはいたけど。

本題に入るのが早くて、

心臓がついて行かない。



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