一緒に、歩こう
12
「ただ今をもちまして、体育祭を開催します!」
全校生徒が並ぶグラウンド。
朝礼台には、開会宣言をする教頭先生。
各色の旗が風邪で揺れている。
空は雲一つ無い青空で、
いわゆる体育祭日和。
「朝比奈、ちょっと来て」
隣に並んでいた白石先生が、
あたしを列の後ろに呼ぶ。
あたしは身を小さくして、
先生の後に続く。
「あたし、保健室でサボる奴いないか見に行く時あるから、今日本部の救護の所にいて」
「あたしが、ですか?」
こくん、と頷く白石先生。
小さい溜息を吐くあたし。
仕方ないか、どうせ断れないし。
「分かりました」
「悪いね、朝比奈。ありがと」
綺麗に微笑んで、白石先生は
自分のいた位置に戻って行った。
あたしは、掻き分けて戻る勇気はなく、
その場で開会式が終わるのを
待つことにした。