一緒に、歩こう




「怪我のない1日にしてください!」





体育委員長が話を終え、

開会式を閉じた。

あたしは、白石先生に

言われた通りに救護の紙が

貼られている場所へ向かった。

そこにはすでに白石先生がいて、

あたしのイスを用意してくれていた。





「今日1日だるいな」





「え、だるいですかね…?」





「だるいでしょーよ。何で高校生の頑張る姿を、こんな暑い所で見てなきゃいけないのよ」






呆れた顔をする先生に、

あたしは苦笑いを浮かべ、

愛想笑いで返した。






「ここ、特等席じゃないの」





「あ、まあ…そうですね」





そう言われて思い出す、去年の体育祭。

去年は、教師としての朝比奈で、

誰もいなかった本部席で、

幸せそうに眺めてたな、って。

その時は、まだ"矢野くん"って

呼んでて、距離があって。

朝来ないからって電話して、

それだけで喜んで、って。

でも、今年は違って。

恋人として、隼人を見て。

幸せ以上の感情で見れて。

彼もあたしを見てくれてて。

1年でこんなにも変わるんだな、て

思ったら、あたし幸せだなって

実感なんかしたりして。





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