一緒に、歩こう
競技が始まって、
白石先生の文句は更に増した。
暑い、から始まり、
だるい、からの、
早く終われ。
先生もわざとらしく言うから、
面白くて、楽しくて、笑ってたら
いつの間にか時間が経ってて、
気付けばお昼休憩の時間。
「あ、これ頼むわ」
「お弁当、ですか…?」
机の上には、大きめのお弁当袋。
あたしは、立ち上がる先生を見ながら
頭を必死に働かせる。
「食べるでしょ?お弁当」
「あ、はい。食べますけど…」
そう言って、自分の鞄の中から、
作って来たお弁当を取り出す。
「一緒に食べれば?隼人と」
「へ…、何を言って、」
あたしは意外な言葉に、口を開ける。
まさか白石先生本人が、
そういうことを口にするとは。
「ここで食べれば大丈夫だって。他の先生、職員室行くし」
「や、でも生徒が…」
「清涼器具もあるし、みんなからしたら、矢野が涼んでるーくらいにしか思われないよ」
あたしは、そんな簡単に思うかな?と
思う反面、一緒に食べられたら
嬉しいなとも思ったりして。