一緒に、歩こう




競技が始まって、

白石先生の文句は更に増した。

暑い、から始まり、

だるい、からの、

早く終われ。

先生もわざとらしく言うから、
 
面白くて、楽しくて、笑ってたら

いつの間にか時間が経ってて、

気付けばお昼休憩の時間。





「あ、これ頼むわ」




「お弁当、ですか…?」




机の上には、大きめのお弁当袋。

あたしは、立ち上がる先生を見ながら

頭を必死に働かせる。





「食べるでしょ?お弁当」




「あ、はい。食べますけど…」



そう言って、自分の鞄の中から、

作って来たお弁当を取り出す。





「一緒に食べれば?隼人と」





「へ…、何を言って、」





あたしは意外な言葉に、口を開ける。

まさか白石先生本人が、

そういうことを口にするとは。





「ここで食べれば大丈夫だって。他の先生、職員室行くし」





「や、でも生徒が…」





「清涼器具もあるし、みんなからしたら、矢野が涼んでるーくらいにしか思われないよ」




あたしは、そんな簡単に思うかな?と

思う反面、一緒に食べられたら

嬉しいなとも思ったりして。



< 342 / 497 >

この作品をシェア

pagetop