一緒に、歩こう




「おい、ばばあ」




そこへ、聞き覚えのある声がして。

白石先生の向こう側に、

隼人の姿があった。





「あんた昼抜きでも、いいわけ?」




「あ、お姉様。美味しいお弁当、ありがとう」




「一生言ってろ、ばか弟」




「調子に乗るな、ぶす」





姉と弟の戦いを、

あたしが割り込んでやめさせる。






「ストーップー」





割り込むと、

隼人は少し顔を緩めてあたしの

名前を呼んだ。

白石先生は、じゃあねと言って

保健室に向かって歩いて行った。







「あ、えと…先生が、隼人にって」





そう言ってお弁当に目配せする。

隼人はそれを見ると、

疲労を嘆きながら白石先生の

座っていた席に腰を下ろした。




「食うぞ」




「え、でもさすがに…」




「涼んでいいでしょ、朝比奈先生」





隼人が意地の悪い目であたしを見るから、

あたしも教師としての目で見て。

変なこと考えなくていいか、と

隣でお弁当を食べることにした。




< 343 / 497 >

この作品をシェア

pagetop