一緒に、歩こう
「おい、ばばあ」
そこへ、聞き覚えのある声がして。
白石先生の向こう側に、
隼人の姿があった。
「あんた昼抜きでも、いいわけ?」
「あ、お姉様。美味しいお弁当、ありがとう」
「一生言ってろ、ばか弟」
「調子に乗るな、ぶす」
姉と弟の戦いを、
あたしが割り込んでやめさせる。
「ストーップー」
割り込むと、
隼人は少し顔を緩めてあたしの
名前を呼んだ。
白石先生は、じゃあねと言って
保健室に向かって歩いて行った。
「あ、えと…先生が、隼人にって」
そう言ってお弁当に目配せする。
隼人はそれを見ると、
疲労を嘆きながら白石先生の
座っていた席に腰を下ろした。
「食うぞ」
「え、でもさすがに…」
「涼んでいいでしょ、朝比奈先生」
隼人が意地の悪い目であたしを見るから、
あたしも教師としての目で見て。
変なこと考えなくていいか、と
隣でお弁当を食べることにした。