一緒に、歩こう

「美味しそう、お弁当」




隼人がお弁当のふたを開けて、

思わず声が出てしまった。

見栄えばっちりで、好きなもの

ばかり入ってて、誰が見ても

美味しそうと声を漏らすような

そんなお弁当。





「お前のくれよ」




「え、あたしの？」




「交換して。これ食い飽きたし」




隼人はそう言うと、

あたしの返事を聞かずに

お弁当を取り換えた。





「せっかく作ってくれたのに…」





「家でも食えるし。お前の食いたいし」





いっただきまーす、と嬉しそうに

合掌して頬張る隼人。

あたしもつられて、箸を持つ。





「…、美味し、」





一口、二口と箸が進む。

隼人のお弁当は懐かしい味がした。

食べる度に、違う美味しさが出て来て、

何だか隼人が少し羨ましくなった。





「あれ、隼人…何してんだよ」




「矢野じゃーん。あれ、朝比奈先生も！」




クラスの生徒がいきなり声をかけてくる。

あたしはドキっとして、体を縮込めた。