一緒に、歩こう
「俺お前のこと知ってたぜ。授業終わった後とか、よく走ってたよな?」
「え、何で…知ってるんすか、」
「名前は知らなかったけど、何回か練習で顔合わせてたろ?俺だってそれくらいは覚えられんぞ?」
そう言うと、松田くんはまた
感動したのか泣き始めた。
隼人はそんな松田くんの肩を
押して、泣くなと彼なりに
慰めている。
「で、お前が俺の前だって知った時。この頑張り無駄にしねぇって誓ったんだ。くせぇだろ?笑っていいぜ?」
「いや、笑うわけないっす!」
「ま、1位取れたし。結果オーライだ」
「隼人さん…!一生着いて行きます!」
この短時間で、松田くんの
隼人への気持ちを知った。
そして、隼人の真剣な気持ちも
知ることが出来た。
あたしは心の奥で、
子どものように、こけたことに対して
思ってしまったことを
松田くんに向けて謝罪した。
「もう好きにしろ。それより手当てして来いよ、怪我ひでぇぞ」
「分かりました!朝比奈先生、お願いします!」
「あ、手当てね!本部行こっか」
あたしは立ち上がった松田くんと一緒に、
救護席の方へ向かった。
そこには丁度白石先生が座っていて、
松田くんの手当てを任せることにした。
後ろを振り返ると、隼人はいなくて、
最後の閉会式のために列に並んでいた。