一緒に、歩こう
「では、再テストを返します」
夏休み中、早く終わらせようと
決められた日に登校していた
あたしの担当のクラス。
全員が全日程出席だったし、
まず普通に合格点を取れば
補習はもうないはずだった。
「矢野くん」
最後に名前を呼んだのは、彼。
だるそうに歩いて来る姿に
あたしは溜息を1つこぼす。
「…は。これ俺の?」
「そうよ。自分の字でしょ?」
「…マジで、もっかい?」
「採点ミスはありません」
そう、矢野くんは。
合格点の半分にも
満たしていない点数。
何回も何回も見直した末の。
不合格の点数。