一緒に、歩こう
「みんな頑張りました。また2学期に元気に学校来てね。じゃ、もう帰っていいわよ」
補習終了、を告げられた生徒は
元気に鞄を片手に教室を
飛び出して行った。
「マジでないわ…俺の頭」
落胆からか、
テストを眺めて座ったままの
矢野くんがいる。
「矢野くん、もうみんな…帰ったよ?」
声をかけても動こうとしない。
あたしは、その姿を見て
居たたまれなくなった。
「そんな気を落とさないで。ね、矢野く…」
「俺夏休みねぇじゃん」
ぼそっと呟く彼に、
あたしは胸が痛くなる。
誰と過ごすの?
何のために落ち込むの?
嫌な表情が、あたしとの
空間を拒否されてる感じがして
少しばかり切ない。