一緒に、歩こう



「これ次の補習日だからね。ちゃんと来るのよ?」





それだけ言い残して、

立ち上がった。

その時。





「お前がすんなら来てもいいよ」




「…え?」






突然発する声が。

あたしの耳を駆け巡る。





「先生だけが補習すんなら、来てもいいよ」




「な、何言って…そんなの無理よ、」



「じゃ来ねぇから。帰るわ」




勢いよく立ち上がり、

教室から出ようとする。

そんな。だって。

あたしだけなんて…、

出来るわけない。

だけど。でも。





「待って…!分かったからっ」




大きな声を出して

矢野くんを引き留める。

あたしに呼び止められて、

その場に立ち尽くす。




< 38 / 497 >

この作品をシェア

pagetop