一緒に、歩こう
「でも隼人、手出さなかったね」
「出したら、お前悲しむから」
背中でその言葉を聞いて。
嬉しくてたまらなかった。
「もうこんな時間だ」
あたしは時計を見てびっくり。
もう終了時間を示している。
「戻るか」
あたしは矢野くんの後を追い、
教室に戻る。
さっきまで賑やかだった校舎は、
しんと静まり返っていた。
「あれ、みんないない…」
「外じゃね?」
教室の中は、さっきまで使っていた
机やイスがあるだけで、
生徒は1人もいない。
「ほら」
廊下から隼人の声がする。
一緒になって見てみると、
グラウンドには全校生徒が
輪になっている。
「あ、そうだった…」
思い返してみれば、
先日担任が言っていた。
今年から新しくフィナーレとして、
全校生徒のフォークダンスが
行われると。