一緒に、歩こう






「何で今年から始まったのかな、これ」




小さな疑問をぶつけると。





「知らねぇ、校長の気まぐれ?」




「ありえるかも。今年で終わったりしてね」




感じたことのない、雰囲気。

色気のある隼人の顔に、

あたしは終始ドキドキする。





「来年はさ」




「ん?」





目の前の彼はぽつりと呟いて。

少し寂しそうな顔をした。




「俺達どーなってんだろうな」





「…えと、来年は」




きっと幸せだよ。

そう伝えようとしたのに。

言えなかった。

未来のことなんて、

予想出来ない。

あたしは今が良ければいい、

なんて思ってたから。

だから。

何も言えなかった。

そんなあたしに。




< 386 / 497 >

この作品をシェア

pagetop