一緒に、歩こう
「はあい…」
ぼさぼさの髪の毛で隼人を迎える。
こういうのは今回だけじゃなく、
何回もあるんだけど。
「ほんとやばい」
隼人にはこの姿がツボらしく、
毎回玄関で抱きしめられて
動けない。
「ちょっと…どいて」
「無理。可愛すぎて離せない」
いつも不器用な彼が、
朝とか夜とか、睡眠に
近い時だけ甘えてくる。
そしていつもより素直に。
「もう分かったから。向こうで座って待ってて?」
ん、と目を擦りながら
奥のソファーに向かって
歩いて行く。
あたしは素早く服を着替えに、
クローゼットのある場所へ。
今日は割と近場でお買い物だから、
少し変装チックな服装をする。
ニット帽に、顔半分が隠れる
大きなサングラス。
暗めの色のワンピースと、
コート。そしてブーツ。
防寒しつつ、変装もする。
我ながら完璧だ。