一緒に、歩こう
「はーやと!行こ?」
「んー」
あたしが玄関で声をかけると、
奥で唸るような声が聞こえる。
あたしはブーツを履いて
スタンバイ。
玄関に来た隼人は、
あたしを見て足を止めた。
「どうしたの?」
「何そのグラサン」
あたしの目を指さして、
何でかけてるの、と聞く。
「今日結構近場だし、変装しよっかなって」
どう似合う?
そう聞くあたしに、
意外と似合う、と
素直に喜べない反応を見せた。
「今日は何しに行くの?」
「ぶらっと買い物。服見るかなー」
「いいね、どのお店?」
今日は珍しく雪もなく、
歩くのには困難じゃない。
だけど街はもうすぐクリスマス。
休日なこともあってか、
家族やカップルで賑わっている。
人ごみの中を歩く。
隼人があたしの手を引いて。