一緒に、歩こう
帰る道のりは結構長く感じた。
2人とも沈黙で。
「隼人、ここ座って」
あたしは救急箱を取り出し、
殴られた隼人の顔を
手当てすることにした。
「痛っ、」
「ごめん」
綿を持つ手がわずかに震える。
「ごめん、隼人」
唇を噛みしめる。
必死に堪えて堪えて。
だけど我慢が、出来なかった。
「痛かったよね…、ほんと、あたし何も出来なくて…っ」
血がにじむ綿を変えては、
消毒液を付ける。
知らない間に、同じとこばかり
手当てしていた。
「芽衣子…」
「でも、何もなくてよかったぁ…ごめん隼人、」
「もういいって。んで泣くんだ、ばか」
トゲのある言葉を吐くのに、
手は優しくあたしの頭を
撫でてくれる。