一緒に、歩こう
「迎えに来てるはずなんだけど…」
ホームを出てきょろきょろ
辺りを見渡す。
すると隼人が。
「やばい」
そう言って、必死に
あたしの腕を鷲掴みにする。
「どうしたの?」
「今更緊張してきた」
「…ぷ、あはは」
寒さで鼻を赤くし、
手をキンキンに冷たくして。
なのに全然寒そうじゃなくて、
むしろ上着脱ぐ?って
言ってあげたくなるくらい
額に汗を作っていた。
「笑いごとじゃねぇ」
「大丈夫だって!結婚するわけじゃないし、軽い気持ちで」
ね?と、彼を汗を拭おうと
頬に手を伸ばす。
手袋をしていたあたしの手は
暖かくて、隼人は気持ち良さそうに
目を瞑って深呼吸した。