一緒に、歩こう
「あ、そうそう。あのね今日お父さん知らないのよ」
「何を?」
「芽衣子が彼を連れてくること」
今初めて車内がシーンとなった。
和らいでいた隼人の顔が、
また初めの顔に戻る。
「何で言わなかったのよ」
「サプライズよ、サープーラーイーズ!」
「サプライズって…何それ」
「隼人くん、もう着くわよ~」
見慣れた街並み。
静かな風景があたしの
視界に広がる。
そこはあたしが大学に
行くまで住んでいた場所。
「芽衣子、荷物自分の部屋に置いてきてね」
「はーい…」
着くなり、そそくさと中へ入る
お母さんの背中を見送ると。
隼人と見つめ合って、
立ち尽くす。分かってる。
きっと隼人が言いたいことは。